これまで日々、さまざまなかたちでJFAアカデミーをたくさんの子ども達、指導者のみなさんが利用されています。今回はその中のひとつの例を紹介したいと思います。以下は会津サッカー協会4種委員長 伊藤和也さんからの報告です。
平成20年11月15日から始まったJFAアカデミー会津スクールは会津サッカー協会4種委員長、伊藤和也の提案により実施され、平成21年2月20日現在で6回行われました。選手は片道2時間30分の道のりを大型バスに乗車し、毎回3種、4種の選手20名ずつが参加しています。残念なのはそこに指導者の方の人数が増えていない状況があるということで、ぜひ指導者も学んでいただきたいと思っています。参加した選手からは「楽しかった」「わかりやすかった」「上手になりそう」などたくさんの声があり、指導者は「シンプルなことを繰り返し何度も行っている」「言葉の表現力やタイミングのこだわり、選手の動きも休みなく続けてトレーニングされている」など帰り道話しています。この会津スクールは地区トレセンに参加している選手を対象としているのではなく、誰でも自由に参加することができ、サッカーを昨日はじめたばかりのような初心者、サッカーに自信がない子など、さまざまな選手みんなでトライしています。選手はやはり勉強している指導者の下ではどんどん上手になるなあと実感しています。今後もさらに大人である我々がしっかり学んで「プレーヤーズファースト」の理念の下、行動していきたいと思います。
会津サッカー協会
4種委員長 伊藤 和也


1~2年生が9人、3年生~6年生まで合計14人が本日の参加。3年生~6年生には、ボールを1つしか与えなかった。コーンも、マーカーも、ビブスも使えない。使えるのはボールただ1つ。条件としては、「ボール1つで全員が動いていて全員がボールに触れて遊べるゲーム。」子ども達がグランド上で会議をして何を始めたか。ハンドボールゲームである。センターサークルを使って、チームを学年で分けたようだ。ただし、コートの外ではゲームが終了するグループが暇そうに座り込んでいる。ある程度遊ばせた段階で、一度子ども達を集めた。「非常に面白かったよ。よく考えたね。だけど、全員が遊べた?全員が動いていた?地面に座り込んでいた子も中にはいたよ。それじゃあ、さらに条件を追加しよう。鬼がいて、手は使わないで5秒以内にボールを離すこと。ゲームの内容、コートの大きさは自分達で考えてみて、自由に。」子ども達は、センターサークル上に同間隔でポジションを取り、これまた学年で分けられて鬼が中に入る。これは、ある程度面白いものであった。ただし、サークルの端から端まで無理にボールを通そうとしてボールを取られてしまう。「これも、面白かったね。でも、全員がボールに触れたかな?動きはあったかな?他にないかな?」すると、ある小学校3年生の少年が、「鬼がボールを持っていない人にタッチするやつを、ペナルティエリアでやったらどう?」少しフットボールに近づいてきた。だが、ボールを持っていない者を鬼が追いまくるのでただの鬼ごっこになってしまった。ボール保持者はほとんど忘れられた状態。「これも面白かった。全員が確かに動いている。だけど、今度は5秒以内にボールを離していたかな?鬼とボールを持っている人の関係を変えたらどう?」子ども達が頭をフル回転して考え始める。答えが返ってこなかったので、「鬼はボール保持者にタッチするんだよ。つまり、ボールを持っていたら鬼に狙われるということ。でも、学年チームはそのままだからね。誰か1人でも取られたら、そのチーム全体で鬼になるんだぞ。」これはよく見るポゼッションの原型である。段階的にフットボールに近づいてきた。しばらくして再び集合。「じゃあ、このルールを維持したままサッカーにするには?何が必要?ゴール?でも、今日はボール1つしか使えないよ。ビブスも、コーンも、マーカーもないよ。どうする?」何人かの子ども達は、「靴おけばいい。ジャージでいいじゃん。帽子もあるよ。」ようやくフットボールが始まった。子ども達に「ゲーム」といった瞬間、「フットボール」でも「サッカー」でもない「ハンドボールゲーム」をやり始めた時に、大人を代表して罪を感じた。それは、「フットボール」も「ゲーム」のひとつだと子どもが思っていない動かしがたい事実であったからである。南米、欧州の子ども達は、グラウンドに来るとミニゲームを始めるが、日本の子ども達は各自がボールをゴール前に置いてシュートを始める。またはセンタリングを始める。この現象はアカデミーのセレクションでも同じであった。これまで子ども達が日常的に見てきたもの、そして裕福さゆえに各自がボールを持っていることに由来すると思われる。それも悪くないが、組織ゲームのエッセンスは体に染み込まない。さらに言うと、南米でも欧州大都市郊外でもストリートサッカーは見られるが、その中にカテゴリーは存在しない。大人も子どもも混じってフットボールをしている。その中で、駆け引き、フェイント、ワンツー、パス、ドリブルなどを学んでいく。コーチのヒントを基に「フットボール」を自分達で導き出した子ども達にこう言った。「地球に60億人いて、40億人近くがフットボールを楽しんでいる。何故だと思う?ボールのようなものがひとつあればみんなで遊べるからなんだよ。サッカーシューズも言葉も必要ない。肌の色、言葉、文化が異なってもいろんな人たちと遊べるもの、それがフットボールというゲームなんだよ。南米、欧州の子ども達は一人一人ボールを持っていないし、サッカーシューズだって全員もってないぞ。マーカーだって、ビブスだって、コーンだって、ゴールなんてないぞ。だけど、フットボールというゲームを創り出して遊ぶんだよ。」
文:樋渡 群

飯舘村に招待され、デュソー氏が小中高校生の子供達に講演を行った。講演タイトルは夢を「実現」するために。夢は誰でも見ることができるが、一番重要なのはそれを実現するための方法を知ること。フットボールで言えば、10歳ごろまでに運動神経をしっかりと向上させておくこと。12歳までにフットボールにおける全ての動作を学ぶ。そして15歳までに学んだ動作を完璧に、より素早く行えるように。さらに、持久力は15歳までしか伸びないので、12歳~15歳はボールを使ったトレーニングの中に運動量も確保する。
デュソー氏は言う、「コーチの要求に80%応えれば2部リーグ、100%応えれば1部リーグ、120%応えればA代表でプレーできる。そして、楽しむ、楽しませること。夢を諦めないこと。情熱を持ち続け、学んだものを他の人にも伝えたいと思うこと。次に学ぶ人のために。」

依頼された当初サッカースクールは含まれていなかったのだが、デュソー氏の「グランドで夢を実現する手助けをしなければ、いくら話をしても小さい子供は真に理解できないよ」という強い思いから、飯舘村の多くの方々のサポートを経て、「夢のお手伝い」が始まった。開始30分以上前から来てボールを蹴っている子供達4人を見て、すぐさまデュソー氏は一緒にボールを蹴り始める。特にGKの子には近距離からの簡単なキャッチトレーニングを行った。トレーニングというにはあまりにも自然な大人と子供のボール交換。足から放たれたボールを単純にキャッチする。言葉はない。ジェスチャーで「こうやってキャッチしろ」と伝える。キャッチしては、デュソー氏に返し、それを再び彼はダイレクトで蹴る。正確な動作の繰り返しこそが技術を向上させる大きな秘訣。
そのうち、全員が集った。
小学校3,4年生と、5,6年生、中学生の3つのカテゴリーに分けてトレーニング。年代ごとに分ける理由は、主に身体生理学的なもの。プレー強度、スピードは全く異なる。ゲーム形式とドリルトレーニングの後は、8対8のゲーム。寒いにも関わらず元気にボールを追い続ける飯舘っ子。デュソー氏がゲームを観ながらぼそりと一言。「ストップをいつこの子達に言えばいい?」
文:樋渡 群